「カラオケ行こ!」が良かったという話




和山やま先生の「カラオケ行こ!」という漫画がとても好きなので、感想兼紹介記事でも書いてみるかー!と思い立ちました。

まずはあらすじから紹介します。



カラオケ行こ! (ビームコミックス) | 和山 やま |本 | 通販 | Amazon

カラオケ行こ!
著者:和山やま


歌がうまなるコツ教えてくれへん?
合唱部部長の聡実はヤクザの狂児にからまれて歌のレッスンを頼まれる。 彼は、絶対に歌がうまくなりたい狂児に毎週拉致されて嫌々ながら 歌唱指導を行うが、やがてふたりの間には奇妙な友情が芽生えてきて……?

話題の作品が描き下ろしを加えて待望のコミックス化!!



[ 登場キャラクター紹介 ]

〇岡 聡実: 森丘中学校合唱部の部長。 とある悩みを抱えているのだが、なぜか狂児に歌を教えることに。 真面目だが毒舌な中学3年生。
【得意な歌】 教えません。

〇成田狂児: 四代目祭林組若頭補佐。 組長が主催するカラオケ大会の罰ゲームを回避するために歌がうまくなりたい39歳。
【得意な歌】 紅

〇組長: 狂児の組の組長。 絶対音感がある。 1番好きなことはカラオケで、2番目に好きなことは刺青。
【得意な歌】 タイガー&ドラゴン


出典:「月刊コミックビーム OFFICIAL WEB SITE」




表紙は黒が基調となっていますが、話自体は基本ギャグテイストで最後に少し緊迫とほっこりを与えてくれる物語なので退屈しません。公式サイトで試し読みできるので是非。


表紙がBLっぽいですがBLか?って聞かれるとかなり微妙なラインです。友情って書いてるんでこういうの書いたら怒られるかもしれませんが。私はかなり萌えましたが、人によってはBLとか感じないんじゃないかなーってくらいうっすらです。BLにカテゴライズしなくても全然大丈夫なくらい。




で、この作品の感想を言うと、とにかく狂児(表紙左)が好きすぎた。


狂児はヤクザと紹介されていますが、一般的に想像されるようなすぐ切れたり恫喝してくるタイプのヤクザではありません。一見ナチュラルな人間に見えてネジが飛んでるタイプのヤクザです。なにせ聡実に自己紹介する時の第一声が「よろぴく」。この時点であ、なんか独特な奴だなって分かると思います。

ただ狂児は普段は聡実と話していてもごくまともな話し方、態度を取るので、ヤクザであることを忘れそうになるんですよね。話が上手いし、初めて聡実に歌を披露して、「裏声が気持ち悪い」と言われてもキレない。あとは中学生の聡実に気を遣ってタバコを吸わない気遣いを見せます。ヤクザらしからぬこの穏やかさ。一番最初の、初めて聡実と話している場面だけで好感度が高くなるからすごい。

何より狂児が魅力的なのは顔。顔がいい。この顔がいいのが笑うとま~~~人好きのする笑顔なんですわ。彼はヤクザに入る前からヒモ男でしたがさもありなんという感じ。
狂児が人を惹きつける男であることがよく分かる、狂児の台詞があります。


「この車は基本後部座席にしか人乗せへんけど 助手席に座った人間はなんでか俺から離れられへん」
「女も」

「聡実くんも」
「乗り心地がよろしいんでしょうなぁ」



・・・・・・・・・・・。

この台詞、途方もないエロティシズムを感じたんですが私だけですかね…?????
ていうか言い忘れてましたが舞台が関西方面なのか、聡実も狂児も関西弁です。狂児の関西弁がえろい。





私が死ぬほど好きなシーンがあるので紹介します。狂児がネジの飛んだヤクザであるということを思い出させてくれるシーンなんですが、聡実が薬でラリッたチンピラに絡まれた所を狂児が助けてくれるんですよね。

最初聡実は1人で普通に歩いてて、偶然ぶつかったチンピラに絡まれます。絡んできた奴はラリってるのでもちろん話なんか通じません。涙目の聡実がそのまま引っ張られてどこかに連れていかれそうになった、その時。





狂児「俺もつれてって~!」

(驚く聡実)

チンピラ「あっ!キョンキョン!」

聡実(キョンキョン…)

チンピラ「見てみこれ~かわいいの見つけて~ん」

狂児「ほんまや~なんやこの子犬ちゃんは~♡ はじめまして~」

聡実「……」

チンピラ「どや~お前も一緒に…」

(ここで狂児が聡実の前に立ち、聡実を後ろに下がらせる)

聡実「?」

狂児「めっちゃごめん😫」

(アタッシュケースの角でチンピラの頭を横殴りする)

(チンピラから聡実の方に血が飛んでいく。それが聡実の顔に付かないように、狂児が手の平をかざして防ぐ。狂児が聡実に笑いかける。)

狂児「帰ろ!」

(愕然とする聡実)








え・・・・・・・・・・・・???




好き・・・・・・・・・・・・・






最後の飛んできた血を聡実の顔に付かないように手をかざす所。ここ3コマのスローモーションで書かれてるんですが、まじで痺れました。
チンピラに絡まれて聡実が涙目になって、さらに誘拐までされそうになった時に狂児が現れた時も「キターーーーーー!!!!」となってときめきましたが、最後にこんなんされたら惚れるしかないやん………
血が飛ばないように気遣ってくれる優しさと、チンピラを躊躇なく横殴りする狂気を同時に見せつけられて情緒がぐちゃぐちゃになってしまうわよ!?

あと、台詞に顔文字ありましたよね?あれ私が勝手に付けたんじゃないですよ。全く同じ顔ではないですが本文に本当に顔文字が入ってるんです。そして狂児も顔文字みたいな顔してヤクザの頭をいきなりアタッシュケースの角でぶん殴ってるんです。
ヤバくないですか??????
狂児がナチュラルヤバい奴であることをこんな形で見ちゃったら死ぬ………死んでしまう………ガチ恋もやむを得ない………
まじでここ本当に好きなシーンなので、みんな単行本買って読んでみて欲しい。



そして狂児に助けられた後、色々あって聡実は狂児に八つ当たりしてそのまま別れてしまいます。
理由は聡実が声変わりで悩んでたからっていうのがあるんですが、詳しくは単行本で。


さらに次の日。その日は狂児と聡実の歌のレッスンの終了日です。
実は狂児が歌のレッスンを受けていたのは組でのカラオケ大会のためで、そのカラオケ大会がこの日だったんですよね。そして偶然にもその日は聡実の中学生活最後の合唱祭の日と同じでした。

合唱祭に行くため学校に登校しようと歩いていた聡実は、交通事故の現場に居合わせます。事故の瞬間を見たわけではなく、事故後の車の残骸を見たのですが警察官が口にした車の持ち主の名前はなんと狂児の名前で─────




というところで紹介は終わりたいと思います。
読み終わった時はなんか映画を見終わったような気分でしたね。劇場を出て友達と良かったね~!と感想を言えるような。私の中ではまじで好きな漫画です。

狂児と続きが気になった方、是非単行本で読んでみて下さい。そしてお気に召した人には和山やま先生の他の作品もおすすめです。どれも面白いので。私は和山やま先生の作品は作家買いしてます。


あとこれは個人的なこだわりですが、和山やま先生の作品は是非紙で読んで欲しい。元々私が紙派なのもありますが、和山やま先生の絵柄は本当に紙が合う。紙の質感と絵柄が合わさってもはや小説のような雰囲気すら感じる。元々紙で持ってて、さっき電子書籍版のサンプルも見たんですがやっぱり紙の方が断然良い。
和山やま先生の絵柄は陰の描き方と線のタッチに特徴があって、それが紙と非常にマッチするんです。特に陰の塗りと紙の色の影響が大きいと思うんですが、和山やま先生は水彩のような陰の塗りをされるんですね。で先生の絵をぱっと見た時に、その水彩筆で塗ったような陰がじわりと紙に滲んでいるような感じがする。

あとは余白。漫画って大体ページの隅々まで描き込まれていると思うんですが、和山先生はページの四辺に余白を多くとったコマ割りをされるので、電子書籍のように背景が真っ白だと白と黒のコントラストが強すぎてしまうんです。それが紙だとすこし温かみのある茶色の紙に印刷されているので、マイルドになって読みやすく、何より絵柄に味が生まれています。普通紙の色とか意識しないじゃないですか。でも和山先生の絵柄だと紙の色すら世界観の一部に見えてきて面白いです。



てな感じでめちゃくちゃつらつら書いてしまいましたが、結局言いたいのは

「和山やま先生の作品はまじで紙がおすすめ。」

です。電子書籍派の人もなにとぞご検討を!







以上、「カラオケ行こ!」の感想記事でした!

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